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Japanische Klassiker mit Furigana

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しきのついおく

子規の追憶

寺田 寅彦

Lesen Sie 子規の追憶 (しきのついおく) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.861 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

三

四

三

ある時西洋の小説の話から始まってゾラの『ナナ』の筋も私に話して聞かせた。それから、何という表題の書物であったか、若い僧侶が古い壁画か何かの裸体画を見て春の目覚めを感じるという場面を非常にリアルな表現をもって話して聞かせた事があった。その時の病子規は私には非常に若々しく水々しい人のように感ぜられた。

私は『仰臥漫録』を繙いて、あの日々の食膳の献立を読む事に飽きざる興味を感じるものである。そうしてそれを読みながら、まだどういうわけか時々このゾラの小説の話を思い出すのである。

ほとんど腐朽に瀕した肉体を抱えてあれだけの戦闘と事業を遂行した巨人のヴァイタルフォースの竈から迸る火花の一片二片として、こういう些細な事柄もいくらかの意味があるのではないかと思われるのである。

四

子規の家から不折氏の家へ行く道筋を画いて教えてくれたものが唯一の形見として私の手許に残っている。それは子規氏の特有の原稿用紙(唐紙? に朱罫、十八行二十四字)いっぱいに画いた附近の略地図である。右上に斜に鉄道線路が二本引いてある。鶯横町は右下半に曲線を描いて子規庵は長さ一センチくらいのいびつな長方形でしるされてある。