Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
だが、それにも拘らず、彼の探偵としての推理力は、以下に記述するが如く、実にすばらしいものであったし、又彼の人間としての善良さは、表情や言葉の端々にも見て取ることが出来た程で、私は、心の奥底には、まだ一片の疑いを残しながらも、ついつい彼の言葉を信じ、彼の意見に従うことにもなって行ったのである。
「私の知っている人ですって、おかしいな。少しも分らん。教えて下さい」
私は再びそれを尋ねた。前章の続きである。
「突然云ったのでは、君にはよく飲込めないかも知れぬ。でね、少し面倒だけれど、僕の分析の径路を聞いて呉れないだろうか。つまり、僕の探偵苦心談だね。尤も冒険をしたり歩き廻ったりの、所謂苦心談じゃないけれど」諸戸はすっかり安心した調子で答えた。
「ええ、聞きます」
「この二つの殺人事件は、どちらも一見不可能に見える。一つは密閉された屋内で行われ犯人の出入が不可能だったし、一つは白昼群集の面前で行われて、しかも何人も犯人を目撃しなかったというのだから、これも殆ど不可能な事柄です。だが、不可能なことが行われる筈はないのだから、この二つの事件は、一応その『不可能』そのものについて吟味して見ることが最も必要でしょう。