Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
学資をみついでくれた人はある。だがその人が僕の親だか何だか分らない。少くともその人が親の心で僕を愛しているとは思えない。僕が物心を覚えた時分には、紀州のある離れ島にいた。漁師の家が二三十軒ポツリポツリ建っている様な、さびれ果てた部落で、僕の家も、その中では、まるでお城みたいに大きかったけれど、ひどいあばら家だった。そこに、僕の父母と称する人がいたが、どう考えても本当の親とは思えない。顔もちっとも似ていないし、二人とも醜い傴僂の片輪者で、僕を愛してくれなかったばかりか、同じ家にいても広いものだから、父などとは殆ど顔を合わすこともない位だったし、それにひどく厳格で、何かすれば、必ず叱られる、むごい折檻を受けるという有様だった。
その島には小学校がなくて、規則では、一里も離れた向岸の町の学校へ通うことになっていたけれど、誰もそこまで通学するものはなかった。僕はだから、小学教育を受けていないのだ。その代り、家に親切な爺やがいて、それが僕に「いろは」の手ほどきをしてくれた。家庭がそんなだから、僕は勉強を楽しみにして、少し字が読める様になると、家にある本を手当り次第に読んだし、町へ出る序にはそこの本屋で色々な本を買って来て勉強した。