Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
まあ聞き給え。それから、あらゆる手段を尽して求婚運動を試みた。けれども母親を口説き落すことは出来ても、当の初代さんを承知させることは不可能だった。初代さんは、君に身も心も捧げ尽していたからだ。それが分ると、間もなく、初代さんは殺された。同時に手提袋が盗まれた。何故だろう。手提袋の中に何か外に大切なものが入っていただろうか。一ヶ月分の給料を盗む為に、誰があんな手数のかかる方法で殺人罪など犯すものか。目的は系図帳にあったのだ。その中に隠された暗号文にあったのだ。同時に、求婚運動が失敗したからには、後日の禍の種である初代さんをなきものにしようと、深くも企んだ犯罪なのだ」
聞くに従って、私は諸戸の解釈を信じない訳には行かなかった。そして、その様な父を持った諸戸の心持を想像すると、何と慰めてよいのか、口を利くさえ憚られた。
諸戸は熱病患者の様に、無我夢中に喋り続けた。
「深山木氏を殺したのも、同じ悪業の延長だ。深山木氏は恐るべき探偵的才能の持主だ。その名探偵が系図帳を手に入れたばかりか、態々紀州の端の一孤島まで出掛けて来た。もう捨てて置けない。探偵の進行を妨げる為にも、系図帳を手に入れる為にも、深山木氏を生かして置けない。