Japanische Klassiker mit Furigana
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まごしちとずんど
孫七とずんど
山本 周五郎
Lesen Sie 孫七とずんど (まごしちとずんど) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.189 Zeichen · 30 Bildschirme
「けれどもどうせ呉れる気になったのなら、なあ石原寸度右衛門、そう支度だの順序だのと面倒くさいことはぬきにしてあっさり呉れたらどうかね、おまえとおれとの仲じゃないか、それにまだほかに二頭も持っているんじゃないか、え、石原寸度右衛門」
「なんだほかにまだ二頭とは」寸度は首をかしげた、「おい孫七、ちょっと待て、なんだか話が少しへんだぞ、おまえなんの話をしているんだ」
「なんだってむろん背黒の話だろう」
「なに背黒だ、おまえ馬の……」寸度はまるで闇討ちをくったような眼をした、「冗談じゃないぞ孫七それは話が違う、さっきからおれが云っているのは縁談だ、嫁を貰うかどうかという相談をしているんだぞ」
「そんな猜いやつがあるか、いまさらになってそんなばかなことを」
「それはこっちの云うことだ、よく聞けよ孫七、いったい昨日の娘は気にいったのかいらんのか、それからさきに返辞をしろ」
「昨日の娘……」こんどは孫七が首をかしげた、「それはいったいどの娘かね」
「どれもこれもない、ゆうべ見せた娘さ、晩飯のとき給仕に出た娘があるだろう、おまえとろけそうな眼で見ていたじゃないか」
「知らんぞそんな者は、そんな者がいたかね石原寸度右衛門、冗談じゃない」