Japanische Klassiker mit Furigana
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まごしちとずんど
孫七とずんど
山本 周五郎
Lesen Sie 孫七とずんど (まごしちとずんど) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.189 Zeichen · 30 Bildschirme
だからぬきさしならぬ一瞬の来るまえに両軍は巧みにさっと相別れた。寸度右衛門も手兵をまとめて後退した、そしてさっきの窪地のところまでさがって来ると、そこの丘の上に立っている孫七郎を認めて駈け寄った。
「無事だったか孫七、けがはないか」
「けがだって……」孫七は憐れむような眼で友達を見た、「なぜおれがけがをするんだ」
「なぜって、つまり、おまえいま斬り込んだんじゃないのか」
「斬り込みゃしないさ」
「じゃあ……」寸度は唾をのんだ、「じゃあさっきからそこにそうやって立ったままか」
「ああこうやって立ったままさ」
「どうして斬り込まなかった」寸度は叱した、「せっかく戦場に恵まれて眼の前に合戦を見ながら、どうして阿呆のように突っ立っているんだ、おまえおじけがついたのか」
「ではもう合戦はおしまいなのかね、石原寸度右衛門」
「ばかなことを云え、合戦はこれからだ、今のはさぐりいくさというくらいのもので、本当の戦いはこれから始るんだ」
「そんならなにもそう、せかせかすることはないじゃないか」孫七郎はむしろたしなめるようにそう云った、「おれにはまだいくさの気合がのみこめない、それでまあ此処からようすを見ていたというわけだ、ものには順序があるからなあ」