Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まごしちとずんど

孫七とずんど

山本 周五郎

Lesen Sie 孫七とずんど (まごしちとずんど) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.189 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

前後左右どこもかしこも、斬りむすぶ敵味方の兵でいっぱいだった。ちょっと見るとどれが味方でどれが敵だかわからない、みんな眼を血ばしらせ歯をくいしばって、おのが相手と面もふらず斬りむすんでいる、あらゆる神経がその限度まで緊張しきっているとみえるのに、案外その動作は緩慢でぎくしゃくしたものに思える、ところがいざ自分で槍をとり直してみると、緩慢どころか呼びかける隙さえない、誰も彼もが当の相手におのれの全身をうちこんでいた、五感のほかに六感というものがあるとすれば、いや七感であろうと八感であろうと、すべてをあげて相手を斃すという一点に集中しているのだ。

「みんな忙がしそうだな」孫七郎はあたりを見まわしながら呟いた、「まるで手の空いたやつはいないじゃないか、ああひとりあすこにいるのが……いや、あれも相手がある」

まったく相手がなかった、四方八方いたるところで戦っているが、孫七郎に注意を向けて呉れる者はみあたらなかった。できるだけ箙の桜を敵の眼につくように、からだの角度をいろいろ案配しながら進んでいったが、どうしてもわれこそと名乗りかける相手がない、これでは合戦にならないのである、孫七郎はほとほと困惑した、それで思いきって、