Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうえいふんか
宝永噴火
岡本 かの子
Lesen Sie 宝永噴火 (ほうえいふんか) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.505 Zeichen · 62 Bildschirme
あきらめさえすればよかった。彼からみるとその程度の幸福を望んでいる雲水たちは苧殻の屑のように思えた。人間ではなかった。それに引較べて自分の中に籠っている慾望は烈々として火の玉のように燃えていた。この肉体を天地に叩きつけて、天地を自分の命令通り動かせる自分の肉体とするまでは思い絶たない望みであるのだ。天地と自分と一枚の肉体となって、そこに金剛不壊の自己を打ち樹てる。そこまで行かねば刃を退かない勝負の修業だった。けれども、そんなことを言っても誰一人判って呉れるものはないのだから彼はただ、ときどき顔を背けて苦笑するだけで、縁あれば道伴れとなり縁なければ別れて一人となる機会の操るままに任せ、自分だけは切れそうになる思惟の糸を継ぎ継ぎ一向きにかの神秘の把握に探り入った。
そういう状態で彼は友に招かれたり、また伴れに誘われたりして備後から播州の寺々を漁り歩いた。彼は体力が強いので、疲れた伴れの三人分の荷物を一人で引受けたりした。そういう歩行中でも彼の思索に探り入る習慣は立派な鍛錬となって、決してわきの刺戟によって思索の軌道を踏み外すようなことはなかった。環境と無関心のその有様は自分がただ一ところに足を踏み交わしているだけで、街道筋の民家が却って並木と共に西へ西へと歩いて行くと思われたほどだった。