Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
実は直に細君の用事ありげな顔付きを看て取った。
稲垣の細君は何遍か言淀んだ。「そりゃもう、皆さんの成さる事業ですから、私が何を言おうでは有りませんが……何時まで待ったら験が見えるというものでしょう。どうも吾夫の話ばかりでは私に安心が出来なくて……」
「ああ、車の方の話ですか」と実はコンコン咳をした後で言った。「ちゃんと技師に頼んで有りますからね。そんな心配しなくても、大丈夫」
「いえ――吾夫でも、小泉さんに御心配を掛けては済まない、そのかわり儲けさして頂く時には――なんて、そう言い暮しましてね。実際吾夫も苦しいもんですから、田舎から出て来た母親さんを欺すやら、泣いて見せるやら、大芝居をやらかしているんですよ」
「お金の要ることが有りましたら、稲垣さんにもそう言って置きましたが――銀行に預けて有りますからね」
「そう言って頂けば私も難有いんですけれど……でも、何んとか前途の明りが見えないことには……何処まで行けばこの事業が物に成るものやら……」と言って、細君は不安な眼付をして、「私がこんなことを言いに来たなんて、吾夫に知れようものなら、それこそ大叱責――殿方と違って女というものはとかくこういうことが気に成るもんですよ」