Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さむはし

寒橋

山本 周五郎

Lesen Sie 寒橋 (さむはし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.416 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「――お父つぁんが、どうしたんですって」

「また血を吐いたんだ、まえよりたくさん吐いた、すぐ帰って、濡れ手拭で胃のところを冷やしていて呉れ、医者を呼んで来るから」

「――お父つぁんが」

こう云いながらお孝はもう駆けだしていた。

良人がなにか叫んだようだった。けれどもお孝はなかば夢中で走り、家へ着くまでに二度も転んで、片方の膝をひどく擦剥いた。……父は仰向けに寝て。胸の下まで夜具を捲って、枕から頭を外していた。顔はきみの悪いほど蒼く、頬がこけ、汚れた口をあけて、急速な浅い呼吸をしている。拭くひまもなかったのだろう、そのあたりはまだ汚れたままだった。お孝はできるだけおちついた動作で枕もとへいった。

「お父つぁんどう、……苦しい、いまうちでお医者へいったからすぐ来るわ、少しの辛抱だからしっかりしててね」

「――大丈夫だ、もう苦しくはない」

伊兵衛は眼だけをこちらへ向けた。

「――それよりお孝、おまえに話がある、もっとこっちへ寄って呉れ」

六

「だっていま話なんかしちゃだめよ、お医者の来るまで静かにしていなくっちゃ」

「いや聞いて呉れ、いま話さなくっちゃあ話すときがないんだ、……私は、お孝、……おまえにも済まない、時三にも済まない、……いいか、うちあけて云うが、お孝、……おたみが産むのは私の子なんだ、時三のじゃあない、おたみは