Japanische Klassiker mit Furigana
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さむはし
寒橋
山本 周五郎
Lesen Sie 寒橋 (さむはし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.416 Zeichen · 36 Bildschirme
「――だっていつかは、……そいつばかりはしようがないだろう」
「だからそう思うの、いつかは死ぬんだから、せめて生きているあいだ、生きてこうしているあいだだけは、紙一重の隙もない夫婦でくらしたい、これまでのどの御夫婦にもできなかったくらいに、……あたしあんたにできるだけのことをするわ、ねえ」
お孝は良人の膝を片方の手で、上から強く押しつけながら、じっとながし眼に見あげた。
「身も心もあんたの思いのままよ、あんたのためならどんなことでもしてあげてよ、ねえ、だからあんたもいつまでも変らないであたしを可愛がってね、よそのひとに気をひかれたり、あたしに隠れて浮気なんか決してしないでね、ねえ、よくって」
「――私にはそんなはたらきはないらしい、だいいち先方で相手にしないよ」
「うそうそ、あんたにはおんな好きのするところがあるわ、あんたを見ているとなにか世話をしたくなるの、男ぶりだけじゃなくひとがらがそうなんだわ、おたみだってあんたを見るときの眼つきはべつなんだもの」
「――ばかなことを」
時三は眉をしかめ、顔をそむけた。
「あら本当よ、槇町にいたじぶんだって、近所の娘さんたちに騒がれたってこと知ってるわ、歌沢のお師匠さんのことだって、……いやよあたし、これからもしそんなことがあったらあたし生きちゃいないわ、ねえ、いいこと」