Japanische Klassiker mit Furigana
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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.161 Zeichen · 412 Bildschirme
おりから降りつづいた雨に庭へ出る事もできない子供らはいつになくひっそりしていた。
いつもは夜子供らが寝しずまった後に、どうかすると足音もしないで書斉にやって来て机の下からそっと私の足にじゃれるのを、抱き上げてひざにのせてやると、すぐに例のゴロゴロいう音を出すのであったが、その夜はもとよりいないのだから来るはずはなかった。仕事がすんでゆっくり煙草をすいながら、静かな雨の音を聞いているうちに妙な想像が浮かんで来た。三毛がほんとうにどこかへ捨てられて、この雨の中をぬれそぼけてさまよい歩いている姿が心に描かれた。飢えと寒さにふるえながらどこかのごみ箱のまわりでもうろうろしている。そして知らない人の家の雨戸をもれる燈光を恋しがって哀れな声を出して鳴いていそうな気がした。
翌日の夕方迎えにやって連れて来たのを見るとたった二日の間に見違えるようにふとっていた。とがった顔がふっくりして目が急に細くなったように見えた。目のまわりにあったヒステリックなしわは消えておっとりした表情に変わっていた。どういう良い待遇を受けて来たのだろうというのが問題になった。親の乳でも飲んだためだろうという説もあった。