Japanische Klassiker mit Furigana
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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第二巻 (えいがじだい) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 207.099 Zeichen · 419 Bildschirme
私は今さらのように自然の方則の恐ろしさを感じると同時に、その恐ろしさをさえ何のためとも自覚し得ない猫を哀れに思うのであった。
そのうちにまたいつとなく三毛の生活は以前のように平静になったが、その時にはもう今までの子猫ではなくて立派に一人前の「母」になっていた。
いつも出入りする障子の穴が、彼女のためには日ごとに狭くなって行くのであった。出入りのたびごとにその重い腹部をかなりに強く障子にぶっつけた。どうかすると無作法な玉よりもはげしい音を立ててやっとくぐり抜ける事もあった。人間でさえも、ほんの少しばかりいつもより鍔の広い麦藁帽をかぶるともう見当がちがって、いろいろなものにぶっつかるくらいであるから、いかに神経の鋭敏な三毛でも日々に進行するからだの変化に適応して運動を調節する事はできなかったにちがいない。それはとにかく私はそれがために胎児や母体に何か悪い影響がありはしないかという気がしたが、しかし別にどうするでもなくそのままにうっちゃっておいた。
どんな子猫が生まれるだろうかという事が私の子供らの間にしばしば問題になっていた。いろいろな勝手な希望も持ち出された。