Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第二巻 (えいがじだい) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 207.099 Zeichen · 419 Bildschirme
そして物につかれたようにそこらじゅうをうろついていた。
午過ぎに二階へ上がっていたら、階段の下から下女が大きな声を立てて猫の異状を訴えて来た。おりて来て見ると、三毛は居間の縁の下で、土ぼこりにまみれたねずみ色の団塊を一生懸命でなめころがしていた。それはほとんど生きているとは思われない海鼠のような団塊であったが、時々見かけに似合わぬ甲高いうぶ声をあげて鳴いていた。
三毛は全く途方にくれているように見えた。赤子の首筋をくわえて庭のほうへ行こうとしているかと思うと、途中で地上におろしてまたなめころがしている。とうとうその土にまみれた、気味悪くぬれよごれたものをくわえて私たちの居間に持ち込んで来た。そして私の座ぶとんの上へおろして、その上で人間ならば産婆のすべき初生児の操作法を行なおうとするのである。私は急いで例の柳行李のふたを持って来て母子をその中に安置したが、ちょっとの間もそこにはいてくれないで、すぐにまた座敷じゅうを引きずり歩くのであった。
当惑した私は裏の物置きへその行李を持ち込んで行って、そこに母子を閉じ込めてしまった、残酷なような気もしたが、家じゅうの畳をよごされるのは私には堪え難い不愉快であった。