Japanische Klassiker mit Furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme
また大陸塊の縁辺のちぎれの上に乗っかって前には深い海溝を控えているおかげで、地震や火山の多いことはまず世界じゅうの大概の地方にひけは取らないつもりである。その上に、冬のモンスーンは火事をあおり、春の不連続線は山火事をたきつけ、夏の山水美はまさしく雷雨の醸成に適し、秋の野分は稲の花時刈り入れ時をねらって来るようである。日本人を日本人にしたのは実は学校でも文部省でもなくて、神代から今日まで根気よく続けられて来たこの災難教育であったかもしれない。もしそうだとすれば、科学の力をかりて災難の防止を企て、このせっかくの教育の効果をいくぶんでも減殺しようとするのは考えものであるかもしれないが、幸か不幸か今のところまずその心配はなさそうである。いくら科学者が防止法を発見しても、政府はそのままにそれを採用実行することが決してできないように、また一般民衆はいっこうそんな事には頓着しないように、ちゃんと世の中ができているらしく見えるからである。
植物や動物はたいてい人間よりも年長者で人間時代以前からの教育を忠実に守っているからかえって災難を予想してこれに備える事を心得ているか少なくもみずから求めて災難を招くような事はしないようであるが、人間は先祖のアダムが知恵の木の実を食ったおかげで数万年来受けて来た教育をばかにすることを覚え