Japanische Klassiker mit Furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme
思われるような、全く形態のない幻想のようなものである。
天気が悪かったり、食堂がきたなかったり、騒がしかったり、また食事がまずいような場合には、同じライターの同じ炎の中に同じような星が輝いても決してこうした幻覚が起こらないから不思議である。
胃の腑の適当な充血と消化液の分泌、それから眼底網膜に映ずる適当な光像の刺激の系列、そんなものの複合作用から生じた一種特別な刺激が大脳に伝わって、そこでこうした特殊の幻覚を起こすのではないかと想像される。「胃の腑」と「詩」との間にはまだだれも知らないような複雑微妙の多様な関係がかくされているのではないかと思われる。
二
いつか夏目先生生前のある事がらについて調べることがあって小宮君と自分とでめいめいの古い日記を引っぱり出して比べたことがあった。そのとき気のついたのは自分の日記にはとかく食いものの記事が多いということであった。先生とどこで何を食ったというようなことがやたらに特筆大書されているのである。
自分の子供たちのうちにも、古い小さい時分の出来事をその時に食った食物と連想して記憶しているという傾向の著しく見えるのがいる、どうも親爺の遺伝らしいということになっているのである。