Japanische Klassiker mit Furigana
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ちいさきいえのせいかつ
小さき家の生活
宮本 百合子
Lesen Sie 小さき家の生活 (ちいさきいえのせいかつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.540 Zeichen · 18 Bildschirme
お祭りのように所謂お嫁に行った者は、一生経っても、此我等二人、と云う、深い淋しい身の緊る感銘は受け得ないだろう。Aは、国から五百円都合して貰った。其金と、自分等の書籍と、僅かな粗末な家具が新生涯の首途に伴う全財産なのである。
兎に角、いくら探しても適当な家がないので、仕方なく、まだ人の定らない、十番地の家にすることに決定して仕舞った。
敷金と、証文とをやり、八畳、六畳、三畳、三畳、台所、風呂場、其に十三四坪の小庭とが、我が家となったのである。
八月の二十八日から九月三日まで、Aは毎朝早くから、善さんと、新らしい家の掃除に出かけた。善さんと云うのは、出入りの請負の下働で、当時、H町で、隠居所を建てて居た為、彼は毎日顔を見せた。少し耳の遠い出歯の、正直な男で、子供の居た先住の人が住み荒した廊下、障子、風呂場、台所の手入れに、大工をつれたり、自分で来たりして、助けて呉れたのである。自分は、掃除には一度も来られなかった。二十日以後から体の工合が悪く、熱を出して床について居た。炎天を、神経質になって家探しや買物に歩き廻ったため、疲労で弱ってしまったのである。