Japanische Klassiker mit Furigana
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ちいさなやぎのきろく
小さな山羊の記録
Lesen Sie 小さな山羊の記録 (ちいさなやぎのきろく) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.402 Zeichen · 19 Bildschirme
皮膚のすきとおる青年たちは、いずれもインテリであり、絶望だの虚無だのと、それらの言葉について関心を持っていたが、然し、彼らは、健全な肉体と、健全な生活、美しい恋人や、家庭などを考え、そして山々を呪い、都会にあこがれていたようである。
分裂病の青年たちは、希望に対して不信であり、彼らの考えが、はるかに孤絶していることは分るが、彼らも一様に、美しい恋人を胸に描いていたことに変りはない。然し、人生に対する希望が、皮膚のすきとおる青年たちほど、熱烈で純情であるとは思われない。然し、あるいは、はかりがたいほど深く熱烈であるために、不信の度が激しいのかも知れなかった。彼らは孤絶していたが、その外面にも拘らず、人間に対する愛着は、まさに「きわまりない」もののようでもあった。もとより事情は不可能であろうが、私は、精神病院と結核療養所の位置を変えたらよかろう、と、鉄格子から、変哲もない都会の屋根や電線を眺め、電車の録音をきゝながら考えていた。
私は、然し、暗い旅から旅へ、まるで絶望の中を縫うようにして、まさしく、私自身としては勢一ぱいの、あらゆる努力によって仕事と闘い、今から思えば、あの状態で、あれだけの仕事をすることが出来たことが不思議であった。