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Japanische Klassiker mit Furigana

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こはるのきつね

小春の狐

泉 鏡花

Lesen Sie 小春の狐 (こはるのきつね) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.102 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

遠くに、黒い島の浮いたように、脱ぎすてた外套を、葉越に、枝越に透して見つけて、「浪路さん――姉さん――」と、昔の恋に、声がくもった。――姿を見失ったその人を、呼んで、やがて、莞爾した顔を見た時は、恋人にめぐり逢った、世にも嬉しさを知ったのである。

阿婆、これを知ってるか。

無理に外套に掛けさせて、私も憩った。

着崩れた二子織の胸は、血を包んで、羽二重よりも滑である。

湖の色は、あお空と、松山の翠の中に朗に沁み通った。

もとのように、就中遥に離れた汀について行く船は、二艘、前後に帆を掛けて辷ったが、その帆は、紫に見え、紅く見えて、そして浪路の襟に映り、肌を染めた。渡鳥がチチと囀った。

「あれ、小松山の神さんが。」

や、や、いかに阿媽たち、――この趣を知ってるか。――

「旦那、眉毛を濡らさんかねえ。」

「この狐。」

と一人が、浪路の帯を突きざまに行き抜けると、

「浜でも何人抜かれたやら。」一人がつづいて頤で掬った。

「また出て、魅しくさるずらえ。」

「真昼間だけでも遠慮せいてや。」

「女の狐の癖にして、睾丸をつかませたは可笑なや、あはははは。」

「そこが化けたのや。