Japanische Klassiker mit Furigana
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こさかいふぼくしスケッチ
小酒井不木氏スケッチ
国枝 史郎
Lesen Sie 小酒井不木氏スケッチ (こさかいふぼくしスケッチ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.809 Zeichen · 12 Bildschirme
三
何んと愉快なことでは無いか。だが談論風発を、もし誰かが予想して、氏の書斎を訪問したら、例外無しに裏切られるだろう。一つは体を労られるため、一つは粘液質の鈍感者流が自分の云っていることが自分に解らず、その為め人にも解るまいと、そこで眼を怒らせ声を大にし、丁寧に疾呼反覆するあの悲しむ可き喜劇なるものを、踏襲する必要が無いためとで、いつも氏は低声で物を云われる。私の趣味など何うでもいいが、併し御免を蒙って、私の趣味で云わせて戴けるなら、基督のような人格者であろうと、カントのような智者であろうと、談論風発したが最後、私は躊躇無く無視して了う。そうして私は云うつもりである。「彼奴騒々しい石塊だ哩」とアフリカを踏破したスタンレーのような、大味な冒険心の持ち合わせはないが、騒々しい石塊の眼の前で、その雑音を封する可く、喉仏の見える迄口を開け、笑殺一番するくらいの、小味な冒険心なら持っている。
氏が低声で話されることは、私には何より有難い。
三
氏の社会観、人生観、文芸観というようなものは、氏の口からは聞くことが出来ない。そういう質問をする毎に、「まだ定まっていないのです」