Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
それを知った上人は、多分夜な/\坂本へでも通うのであろうと思って、内心その男を甚しく憎んだ。彼が朝帰って来る時の様子を見ると、何となく打ち沈んでいて、人と顔を合わすのを厭う風があり、いつも涙ぐんでいるので、大方通う所の女が心のまゝにならないのであろう、きっとそうに違いないと、上人を始め皆がそれにきめていた。然るに、或る時上人が使を遣ってその男の跡をつけさせると、男は西坂本(江州の坂本ではなく、比叡山の西側の山麓、即ち現在の京都市左京区一乗寺辺)を下って蓮台野へ行くのであった。使は合点が行かないで、何をするかと窺っていると、彼方此方を蹈み分けて行って、云いようもなく腐りたゞれた死人の傍に寄って、或は眼を閉じ、或は眼を開いて祈念を凝らし、たび/\それを繰り返しつゝ声も惜しまず泣くのであったが、夜もすがらそう云う風にして、暁の鐘の声が聞える頃に、漸く涙を押し拭うて帰るのであった。使者は自分も感激して涙を流しながら戻って来たので、どうであったと上人が尋ねると、さあ、その事でございます、あの男がいつも打ち沈んでしお/\としていましたのも道理でございます、実はこれ/\しか/\の次第で、夕暮になると見えなくなりますのも、そのためだったのでございます、あゝ云う貴い聖の行いをしていた人を、妄りに疑った罪の程も恐ろしゅう存ぜ