Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
自分は誰かに、時々自分の此の幸福を見せびらかして、羨ましがらせてやりたかったのだ。だから左大臣が羨望に堪えぬ顔つきをして簾の奥へ流眄を送ったのを見ては、大いに満足したわけであった。自分は斯様に老耄し、官位は漸く正三位大納言を以て終る運命にあるけれども、而も自分は、此の年の若い美男子の左大臣にさえ缺けているものを持っている、いや、恐らくは、九重の奥にまします帝でさえも、此れほどの人を後宮に持ってはおられないであろう。自分はそう思うことで云うに云われぬ誇りを感じ、それで嬉しかったのであった。………が、それだけならば誰に話しても分って貰えることだけれども、実は自分の胸の中には、又もう一つの感情があった。つまり自分は、二三年来生理的に夫たる資格を失いかけているところから、此のまゝでは、―――何とかしてやらなければ、―――妻に申訳がないと云う気持が、昂じて来ていたのであった。自分は自分を幸福だと感ずる半面に、自分のような老いぼれを夫に持った人の不幸を、だん/\強く感じつゝあったのだ。尤も世には悲惨な運命に泣く女はいくらもあるので、そのくらいなことを一々不憫がっていては際限がないけれども、これは普通の、ありふれた女ではないのである。