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Japanische Klassiker mit Furigana

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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

それが終るとばったりと静かになって、こんどは太い濁み声が事務室の方から烈しく響いてきた。その声に誘われるようにわたしはそっと起きあがった。

廊下を踏みしめながらも、わたしの足はよろけそうであった。だが、その声はわたしが事務室との境の扉の前まで辿り着かない前にはっきりとした音調をもって聞えてきた。

「とてもひどいね。随分古いものらしいじゃないか!」

そう言ったのは夕方事務室で会った男の声であった。

「仕方がない。早速問い合せよう。何しろ愚図々々しちゃあ居られないぞ」

わたしは思わず立ちどまった。最早わたしは自分の耳を疑うことが出来なかった。だが何という心の静けさであろう。わたしの耳は唯その言葉の切れ端しを鮮かにうけ入れたばかりであった。それは十数年前の古い記憶の中から聞えてくる声のようであった。

愚図々々しちゃあ居られないぞ――わたしはわれとわが心に叫びかけていた。わたしは今眼の前で自分の運命が大きく転廻しはじめたのを感じた。すべての不安が消えた。おのれは今一族の運命を呪う不可思議な力と戦いつつあるのだ。新しい昂奮がわたしの胸に充ちてきた。

翌朝は曇っていたが、湯灌が済み、読経が済み、そして型どおりに兄の葬列が火葬場に向って町を通る頃には空は次第に明るくなり、やがて真夏の太陽が疲れたわたしの頭に沁みるようであっ