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Japanische Klassiker mit Furigana

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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

もう形勢はどう動かすこともできないところまで来ているらしい。家へかえってくると彼が出てゆくのとほとんど入れちがいにやってきたという多吉が茶の間の長火鉢の前にしょんぼり坐っていたが、彼の顔には前の日のような精気がなく、左の眼から耳にかけて繃帯をしているのさえ何か痛々しいかんじであった。「どうしたのかい?」と彼がたずねると、

「いや」

と、しきりに頭をかきながら、

「それよりも兄貴のことで心配しているんですよ」

「丈ちゃん――?」

「それがね、昨日まではハッキリしなかったのが、だんだん外部関係がわかってきたらしいんですよ、――今朝も民衆聯合を指導していた根本という人が夫婦で僕の家へ逃げこんできたんですがね、兄貴は兄貴で夕方出たきりかえってこないんですよ、今のところではまだ兄貴の関係していることは警察にも憲兵隊にもわかっていないらしいけれど、やがてわかることはきまっているんですからね」

彼のはなしによると丈吉は聯合の幹事長をしている永富から情報をうけとる手筈になっていたのであるが、今朝約束の時間に訪問すると、形勢が変ってきたために永富の態度が急にぐらついてきたといって憤慨していたそうである。