Japanische Klassiker mit Furigana
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やねうらのさんぽしゃ
屋根裏の散歩者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 屋根裏の散歩者 (やねうらのさんぽしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.862 Zeichen · 57 Bildschirme
諸君はきっとそう仰有るでしょうね。ところが、我が郷田三郎は、不思議とその二つのものに対しても興味を感じないのでした。酒は体質に適しないのか、一滴も飲めませんし、女の方は、無論その慾望がない訳ではなく、相当遊びなどもやっているのですが、そうかと云って、これあるが為に生き甲斐を感じるという程には、どうしても思えないのです。
「こんな面白くない世の中に生き長えているよりは、いっそ死んで了った方がましだ」
ともすれば、彼はそんなことを考えました。併し、そんな彼にも、生命を惜しむ本能丈けは具っていたと見えて、二十五歳の今日が日まで「死ぬ死ぬ」といいながら、つい死切れずに生き長えているのでした。
親許から月々いくらかの仕送りを受けることの出来る彼は、職業を離れても別に生活には困らないのです。一つはそういう安心が、彼をこんな気まま者にして了ったのかも知れません。そこで彼は、その仕送り金によって、せめていくらかでも面白く暮すことに腐心しました。例えば、職業や遊戯と同じ様に、頻繁に宿所を換えて歩くことなどもその一つでした。彼は、少し大げさに云えば、東京中の下宿屋を、一軒残らず知っていました。