Japanische Klassiker mit Furigana
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やねうらのさんぽしゃ
屋根裏の散歩者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 屋根裏の散歩者 (やねうらのさんぽしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.862 Zeichen · 57 Bildschirme
そして、半身を起して、さも不思議相に部屋の中を見廻しています。目まいでもするのか、首を振って見たり、目を擦って見たり、譫言の様な意味のないことをブツブツと呟いて見たり、色々狂気めいた仕草をして、それでも、やっと又枕につきましたが、今度は盛んに寝返りを打のです。
やがて、寝返りの力が段々弱くなって行き、もう身動きをしなくなったかと思うと、その代りに、雷の様な鼾声が響き始めました。見ると、顔の色がまるで、酒にでも酔った様に、真赤になって、鼻の頭や額には、玉の汗が沸々とふき出しています。熟睡している彼の身内で、今、世にも恐ろしい生死の争闘が行われているのかも知れません。それを思うと身の毛がよだつ様です。
さて暫くすると、さしも赤かった顔色が、徐々にさめて、紙の様に白くなったかと思うと、見る見る青藍色に変って行きます。そして、いつの間にか鼾がやんで、どうやら、吸う息、吐く息の度数が減って来ました。……ふと胸の所が動かなくなったので、愈々最期かと思っていますと、暫くして、思い出した様に、又脣がビクビクして、鈍い呼吸が帰って来たりします。そんなことが二三度繰り返されて、それでおしまいでした。