Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
少し下ると美しい栂の林に抱き込まれる。暫くして清冷な水が湧き出しているので、半日の渇を癒すことを得た。足元の明るい中に人里まで出られないと困ると思って急ぎに急いだが、案外路がいいので足も捗取り、六時二十分には和田に着くことを得た。この宿もすっかりさびれてしまって、人通りの多かった頃の面影はない。宿屋は殊に見すぼらしくなった。唯翠川というのがよいらしく、翌日汽車の中で、松本から前の日に原へ登って和田へ下りて其家に泊ったという渡君に遇ったら、果してよいという話であった。
東京を夜汽車で出発して、自分のように尾根伝いに原まで行き、更に最高点を極めて其日に和田へ下るなり武石峠の茶屋へ行くなり、或は松本方面へ下山することも、春の日永の頃であったならば不可能ではない、けれども秋から冬にかけてはむずかしいから、松本若くは和田に一泊して翌朝登山し、異った方面へ下るか、左もなければ南から尾根を辿って扉鉱泉(設備の如何を知らないが)あたりに一泊し、明れば茶臼山、美ヶ原、武石峠を経て松本に出ることは困難ではない。兎に角三日あれば十二分に此山脈の主要部を跋渉することを得ようと思う。