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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

日本海の堪え能わざる所であるに相違あるまい。私は北の空を眺めて、高田平野の果てを限る松並木越しに、漂渺たる日本海が晴れた穏かな暁の色を浮べているのを見て、斯う思った。

振り反えると、妙高続き火打焼山に至る連嶺には、早や旭の光が薔薇色に燃えて、赭色の山膚に鏤められた雪に宝玉の匂が加わった。かなかな蝉の涼しい声が遠くで聞える。

「ねえ君、大分白いね。あんなに雪の残っていることはそうあるまい」

岡田式静坐法の姿勢を崩さないで、哲学者然と構え込んでいた南日君も、堪らなくなったと見えて、鹿爪らしい顔を窓の外へ出しながら、斯う言って仔細らしく首を捻った。

汽車が高田の町に近付いて、後ろに遠ざかり行く此等の山の姿が、梭の如く飛び交う端山の裾に織り込まれてしまう迄、私達は幾度か窓の外を眺めて、幾度か同じような言葉を繰り返した。

夏とはいいながら、朝凪ぎの日本海は誠に穏かである。波打際に波も立たない程であるから、白い波頭などは何処にも見られない。私達の山に囚われた心も暫く解放されて、広々した海面をあてもなく見渡しながら、黒人らしい人の指さす魚の群だという波のさざめきを眺めて、其講釈を聞きなどした。