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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

しっとりした朝の空気までが共鳴せずにはいられないように一斉にざわめく気配がする。爽かな風が河上から撫でるように吹いて来て、懶い眠から草木を醒して行く。頬白が鳴き出した。消え残りの火に薪を添えて顔を洗っていると、金作が米を入れた鍋を持って河原に下りながら、茜色に染った東の空を仰いで、「旦那、今日もいいお天気だぞ」と声を懸ける。さっぱりした気持になって立ち上ると、鋭い銀色の光りがぎらりと目を射た、言う迄もなくそれは此谷唯一の白いもの――奥大日の額を飾る尊い雪の光であった。

朝飯の最中に源次郎が米を背負ってやって来た。こんな時には極って散ざん人を焦らした揚句どうも遅くなって……位のことで胡魔化すのが普通である、今朝も誰か迎えを遣ることになるのではないかと懸念していた。それが案外だったので、暫くは不思議なことのように思われた。また蚋が寄って困った。手早く荷を纏めて此処を出懸る。阿部木谷を登ろうか、それとも南又に入ろうかとは、東京を立つ時から問題になっていた。阿部木谷は先年南日君の登った路である。平沢で聞くと南又も可なり奥まで炭焼が這入っていることだけは分ったが、それから先の様子が知れないので今朝になっても、どの路を取るか未だはっきりと決った訳ではなかった。