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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

この恣な自然の中に小さく点綴された私達の姿は、惨めなものであったに相違ない。

岩が大きくなると水は其下を深く抉って、うっかり足を入れると掬われる恐がある。こんな時に重い荷を背負って岩から岩に飛び移る長次郎の早業は驚嘆に値する。遅れ勝な私達は自然獣の足跡を慕う猟夫のように、水を噴いた草鞋の痕に跟いて、脇目もふらず辿って行く、早月川の谷を下りた時のことが不図思い出された。

水を渡ったり崖に喰い付いたり、同じ様なことを幾度となく繰り返して、踝の痛くなった頃、右から落ち合った可なり水量のある沢を越すと、右手に少しの平地が現れた、平地というても唯山裾の傾斜が緩くなったというだけで、大小の岩塊が錯列して灌莽が叢生している。雪崩の押した跡らしい、上の方に赭い崩れが見える。其処の水際の木蔭に荷を卸して昼飯にした。金作が大虎杖を切って釣竿を作ると、源次郎が蚯蚓を掘って餌にする。私は可笑しくなった、そんなことでや岩魚が釣れるなら世話はないと思った。岳の方から薄ら冷い風が吹いて、汗にふやけた五体に鳥肌が立つ、妖しげなヒトデの形をした雲が高い鱗雲の下をのろのろ匐いまわるのが不気味だ、急いで出懸る。