Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
時は経った。とうとう辛抱し切れなくなってあてもなく歩き出した。不意に西の頂上の記念碑の前に人影が顕われる、双眼鏡で覗くと空身の金作と源次郎である、暢気らしくお宮の扉を開けて見たりなどしている。間近の岩蔭から南日君がひょっこり飛び出して、急ぎ足に其方へ行く。私はまた腰を下ろして知らぬ顔をしていた。戻って来た南日君に聞くと、長次郎は温泉まで下る必要がなくなったので、浄土山の頂上へは出ずに西側から崖の中腹を横に搦んでザラ峠の道へ出ようとして、二時間も私達を待っていたのだという。私達はまた私達で、あの崖にそんな楽な路があろうとは元より知って居る筈がないから、峠へ下るには峰伝いの外はないと信じていたので、浄土山の頂上で落合うことに約束して置いたのだ、交啄鳥の嘴だってこうは喰違わない筈だと思うと、どうしても笑って済す気にはなれなかった。
兎も角も荷のある所まで行くことにして、其方へ足を向ける。巨岩の堆積した急斜面を下ると、西の方へ緩く放射された段状の高原が幾つか連なって、ウットリと気の落ちつくような緑が西日を受けて暖い黄に匂っている。その一番上手にある平の片隅に、荷を背負った儘の長次郎が岩に凭れて休んでいた。