Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
八時十五分、出発。御山谷を下り、十一時三十五分、中ノ谷。昼食。午後十二時四十分、出発。一時、刈安峠(温谷峠)頂上。休憩十五分の後、ブナ坂を下り、二時五分、越中沢を徒渉し、更に五分にして黒部川の河原に出づ。二時二十五分、出発。黒部川の左岸を遡り、崖上を迂廻すること二度、本流を徒渉すること三回にして、五時三十分、東沢の合流点着。
寝覚めの耳へ冴えた鈴の音がチリンチリンと遠くから伝わって来る。それが高原の草の上に横たわれる身にも駅路の夜明けを偲ばせた、暁かけて禅頂する人達の振鈴の響であろう。眼を開けると、片破月に照らされた天幕の布が夜露を浴びて、しっとりと重く垂れている。湯川の谷では杜鵑が盛に鳴いて、断続した水声が其間から幽かに聞える。崖上の偃松の枝が寂しそうにザワザワと騒ぐが直ぐまた押黙ってしまう。風向きが北に変ったので、この窪地へは少しも吹き当てぬものらしい。そのうちに大勢の足音やガヤガヤいう人声が近く頭上から押し被せるように聞えて来た。「あんな処に天幕が見える」、誰かそんなことを叫ぶ、幾十の好奇心に惹かれた眼がまじまじと私達の上に注がれているような気がする。