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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしこれには大きな犠牲が払われているのだ。尾根の側面を薙ぎ取った恐ろしい大崩壊に因って、地貌が一変したものであることは、脚の下に赭色の岩膚を露出している大きなガレから察せられる。谷間に点在している椈の木などは、恐らく土や岩と共に頽れ落ちた若木の生長したものかも知れない。歳月という自然に取りて唯一の良医は、この大疵を殆どそれとも分らぬ迄に癒してしまっているが、流石に赭色の大ガレのみは、夏は真向から直射する強烈な日光に、冬は又頻発するであろう雪崩の為に妨げられて、どうにも手に負えぬものか、当時を物語る記念として、赤裸のままに残されている。其真下よりは稍や上手に当って、四、五丈の瀑が全容を露しながら、白く懸っているのが瞰まれた。

黒部本流に目を移すと、上流は仙人山の岩瘤だらけな山稜に遮られて見る由もないが、東谷の出合あたりから右斜に折れて、仙人谷の右岸をなす尾根の岩壁の下まで来ると、其裾を洗って溢れ漲る藍色の流が初めて眼に入る。岩壁の高さは二、三丈に過ぎないであろう。其上は闊葉樹の茂った斜面が上るに従って次第に傾斜を増すと共に、針葉樹が多くなって、其間から白くされた岩骨が剥き出している。