Japanische Klassiker mit Furigana
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さんがくじょうど
山岳浄土
中村 清太郎
Lesen Sie 山岳浄土 (さんがくじょうど) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.724 Zeichen · 10 Bildschirme
あの白木屋に滞留してまいにちのように戦場ガ原や川端下の原をあるきまわったものだ。落葉松はほうきをさかさになでたように、せきらの枝幹がむらさきをおびて、そうけだっている。しもにさらされたくさが原いちめん、病みほうけたように靡きふし、かばや、かわやなぎや落木のこずえ越しに八ガ岳が氷白の峰々から寒藍の大翼をひろげて、そのしたにおさえられたように梓山の村家が息をころしている。巨材を校倉風にくんだ土蔵や大きな石屋根が、ひくい片陽に広い村道をなかばとっぷりと、かげにそめ、その軒下のくらさは――ひとがすむとも思えない。
川端したの原あたり、霜の壮観をはじめてみたのもこのころだ。雪とちがって広漠たる野に複雑な面をつくり、厚さ何寸かあろう、朝日をうけて半透明に痛光をはなち、不思議なはながさきつづいたようだ。白樺の林に寒月がさしいって、枝幹がつめたい絹のようにさやぐのもすさまじかった。雪のふりつむ椽先に馬がはく白いいき。霜にいたむ大根にゆずをきりこんだ塩漬のあじ。落葉松といえば、なかにはながい枝のなかばから庭木のように、こずえまでかりあげたのがある。聞くと苗をつくるため実をとったあとだという。