Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんがくじょうど

山岳浄土

中村 清太郎

Lesen Sie 山岳浄土 (さんがくじょうど) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.724 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

あまりのいたいたしさに実をとるなら実だけもいだらよかろうにといって、あきれ顔をされてまいった。そんな手数はさらでもはげしいかれらの生活にもとめられるものでなかった。

春になればこの原は、またなごやかな楽園のおもむきになる。枯れ木かと思う落葉松からあまりにもやさしい糸細工のような芽をふき、かばがはじらうような紅味をさしてねばりけのあるやわらかい葉を光におどらせながら、下草は枯れ株のあいだにまず桔梗のような芽からぞくぞくとあらわれる。そのやわらかいくきのむらさきに、白い粉をはいたかれんさ。なるたけそれを踏むまいと、さぎのような足どりで歩きまわって、あせをかいたことも思いだされる。山の春はことさら足がはやい、たちまち緑が枯色を塗り消す。四方の山はかすみたち、村びとは固い土をほりおこし、こどもらは学校へいくまえにかわるがわる村じゅうの馬をこの原へつれあがり、夕方また追いにくる。そこにもここにも、うぐいすがさえずり、ほととぎすがなき、山ばとがのどをゴロゴロさせ、かっこうがよび、きじがさけぶ。落葉松の枝はやさしい手のようにたれて、人頭をなで馬のたてがみをはらう。