Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
続々と繋がって、爪先を仰ぐばかりに中天に高く斜線を引いている――もう白河内岳の上にかかっているのだ、この饅頭形の石山は、北アルプスの大天井岳にどこか似ていると思いながら、喘ぎ喘ぎ登る、霧は大風に連れ、肉を截り削ぐばかりの冷たさで、ヒューッと音をさせて、耳朶を掠めた、田村氏の帽子は、掠奪くられたように、向うの谷へ抛げ出された、製造場の烟突からでも出そうな、どす黒い綿のような雲が頭から二、三尺の上を呻って飛び交う。花が光を、川は音楽を失った、ソラッ暴雨だッ、というときには、眼も口も開けられないほどの大雨が、脳天からかけて、人間を石角に縫いつけた、そうして細引のような太いので、人間を毬のようにかがる、片足を擡げれば、擡げた弱点から、足を浚って虚空へ舞い上げそうな風が、西から吹きつける、誰だって血の気の失せない人はなかった、どこへ遁げようとか、どこが安全だとかいうような余裕が、この際誰にもなかったので、我がちに岳の下の偃松の穴へ――野営としてきわめて不適当ではあったが――一人ずつ飛びこんで、偃松の根許へ這い込んだ、この刹那は、私の頭の中も、暴風雨の荒むように不安であった、油紙の天幕を枝と枝との間に低く張って、四ツ足の人間を、この中に這わせた、寒さに手も凍えて、金剛杖さえ持つ力がなかった。