Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme

Aozora Bunko

が割れたようになって、銀白の川が、閃めいている、甲府平原は、深い水の中の藻のようにかすんで、蒼く揺めいているばかりだ。

この連日、峰から峰を伝わっているので、水がないから、顔も洗われない、焚火で髭を焼いたり、その焚火の煤煙や、偃松の脂で、手も頬も黒くなったり、誰を見ても、化かされたような顔をしている、谷へ下りたい、早く谷へ下りて、自由に奔放する水音が聞えたら、まあどんなに愉快だろう――谷川の流れる末に、巣くう人里などは、考えるさえ、まだ遠いのである。

二等三角点に添って、西へと向き、見上げるような、岩の障壁を攀じると、急に屏風が失くなったようになって、北の方から、待ち構えていた冷たい風が吹きつけて来る、強い風ではないけれど、遠くは北の方、飛騨山脈や、近くは西の方木曾山脈の山々の、雪や氷の砥石に、風の歯は砥がれて、鋭くなり、冷たさがいや増して、霧を追いまくり、かつ追いかけて、我らの頬に噛みつくのである、我らは吹き込む風の中心になったようで、その冷たさと、痛さとに慄えながらも、山稜を伝わって行く。岩は鋼鉄のように硬くなりながらも、イワベンケイ、ミヤマダイコンソウ、ムカゴトラノオなど、黄紫のやさしい花を、点々とその窪洞に填めながら、ギザギザに尖っている輪廓を、無数に空に投げ掛けている。