Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme

Aozora Bunko

白樺の痩せた稚い樹が出て来て、その中から山桜の花が、雪のように咲いている、四月の色は北岳の北の尾根から、信濃金梅の傾斜を伝わって、この森林にまで、流れ込んでいる。

次第に喬木の森林に入った、白く光る朽木は、悪草の臭いや、饐えたような地衣の匂いの中に立ち腐れになっている、うっかり手が触れると、海鼠の肌のような滑らかで、悚然とさせる、毒蚋が、人々の肩から上を、空気のように離れずにめぐっている、誰も螫されない人はない、大樺池を直ぐ眼の下に見て、ひた下りに下る。

森がちょっと途切れて、また草原になる、雪の塊が方々に消え残っている、大樺池は、この緑の草原の中で、針葉樹や白樺の稚樹に、三方を囲まれ、一方は原に向いている、水はうす汚なくて、飲もうという望みは引ッ込んだが、草影、樹影、花影が池に入って、長い濃い睫毛が、黒い眼の縁に蓋をしている、緑晶のような液体の上を、水虫が這っている、それが原の中の「眼」から、転ぶように動く涙のようだ。鳳凰山地蔵岳の大花崗岩山は、その峻しい荒くれた膚を、深谷の空気に、うす紫に染めている。

それからまた針葉樹林を駈け下りる、水の音がするすると、樹の間を分けて上って来るようだ、水! 水! 連日味わなかった水! 一同は狂気のように躍り上って、悦んだ、そうして小さい谷川へ下りたときには、敷石