Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
のと、遺跡を祀ってあるという。
囲炉裏に榾をさしくべ、岩魚の串刺にしたやつを炙りながら、山林吏が、さっき捨てた土饅頭は何だね、と案内の猟師に訊ねる、旦那、ありゃ飛騨の御大名の墳で、と右の一伍一什をうろ覚えのままに話す、役人は、そんな由緒のあるものと知ったら、何とか方法もあったものをと口惜しそうな顔をした。林道開拓のため、途に当った古墳は、破毀されたのである。もう今ごろは石の砕片、一ツなかろう、仮令あってもそれが墳墓であったことを、姉小路卿なる国司の在りし世を忍ばせる石であったことを、誰が知ろう、月の世界に空気なく、日本アルプスに人間もなければ、時代もないと思っていた自分は、この悲壮な、クラシックな話に、どんなに動かされたであろう、事業が消えて名が残る、名が消えて石が残る、せめて石さえ存在すれば「誰か」の「何か」であるぐらいな手繰りにはなる、人の唇より酬われた語に曰く、「こんな邪魔なもの抛り出せ」これで一切の結末がついた、時代は天正から明治まで垂直に下る、雲の中から覗いている万山は、例の如く冷たい。
嘉門次が帰りそうにもないので、小舎から二、三町も行く、鳥居があって四尺ばかりの祠を見せる、穂高神社の奥の院だという、笹を分けると宮川の池。