Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme

Aozora Bunko

桂の大木や、片側道一杯に、日覆いになるほどに、のさばっている七葉樹やで、谷はだんだん暗くなる、その木の下闇を白く抜いて、水は蒼暗い葉のトンネルを潜って、石を噛んでは音を立てる、小さな泡が、葉陰を洩れた日の光で、紫陽花の花弁を簇がらしたような、小刻みな漣を作って、悠ったりと静かにひろがるかとおもうと、一枚硝子の透明になって、見る見る、いくつも亀甲紋に分裂して、大きな水粒が、夕立降りにざあと頽れ落ちたり、飛び上ったりする。

私はくたびれたので、椹の大木の根元に腰をかけて、嘉代吉と話をしながら、梢の頭をふり仰ぐと、空は冴えた碧でもなく、曇った灰でもなく、乳白色の雲が、銀光りをして、鱗のようにぬらぬらと並び合い、欝々と頭を押しつけて、ただもう蒸し暑く、電気を含んだ空は、嵩にかかって嚇かしつけるようで、感情ばかり苛立つ、そうして存外に近い山までが、濃厚な藍色や、紺色に染まって、緑と青のシンフォニイから成った、茫とした壁画を見るようで、強く暗く、不安な威圧を与える、さすがに谷の底だけに、木の根にも羊歯が生えたり、石にも苔が粘びりついたりして、暗い