Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
森の中に、水銀が湛えられる、その上に乗鞍岳が、峻厳にそそり立って、胴から上を雲に没している。
谷風がさやさやと、川楊の葉に衣擦れのような音をさせて通行する、雲はずんずん進行して、山の緑は明るくなったり、暗くなったりする。
夕日がさすころになると、岩魚釣がビクを下げて、川縁を伝わって来る、楊の影が、地に落ちて、棒縞がかっきりと路を染める中を、人の足だけが出たり入ったりしている、それから間もなく岩魚の塩焼が、膳にのぼる頃になると、楊の葉の中を、白い蛾が絮のように飛んで、室を目がけて、夕日に光る障子に、羽影をひらめかせる、風が死んで楊の葉はそよとも動かない。
縁に出て池を見ると、水馬がつういつういと、泳いでいる、そのおもてには、水々しい大根を切って落したような雲が、白く浮いている、梓川の水は、大手を切って、気持のいいように、何の滞もなく、すうい、すーいと流れて行く、その両側の川楊は、梢と梢とが、ずーっと手をひろげて、もう今からは、誰も入れないというように「通せん坊」をして、そうして秘っそりと静まりかえってしまう、日が暮れるに随って、梢はぴったりと寄り添って、呼吸を殺して川のおもてを見詰める、川水はときどき咽ぶ