Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
その夜は、上高地温泉に泊った、六年前に来たときは、温泉は川の縁に湧いていて八十年前とかに建てた、破れ小舎があるばかり、落葉は沈む、蛇の脱殻が屋根からブラ下る、猟士ですら、浴を澡らなかったものだが、今は立派な温泉宿が出来た、それにしても客の来るのは、夏から秋だけで、冬は雪が二尺もつもる、風が勁くて、山々谷々から吹きげ、吹き下すので、砂丘のようなものが方々に出来る、温泉の人々は宿を閉し、番人一人残して里へ下りてしまうそうである、宿は二階建ての、壁も塗らない白木造りで、天椽もない、未だ新しくて木の匂いがする、これで室が分けてなかったら、神楽堂だ。
何という茸か知らぬが、饅頭笠の大きさほどのを採って来て、三度の飯に味噌汁として出されたのには閉口した、宿屋界隈に多いのは蕗で、大きいのは五、六尺の丈に達する、飛騨の蒲田から焼岳を越して来る人も、島々から徳本峠を越して来る人もこの宿で落ち合うが、荷物に蕗の五、六茎を括りつけていないのはない、猟士の山帰りの苞にも、岩魚を漁る叺の中にも蕗が入れてある、同じく饗膳に上ったことは、言うまでもない。