Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme

Aozora Bunko

のは、常念岳らしい。

石小舎の前には、樺や偃松が、少しは生えて、生々しい緑が捨てられている、谷底一杯は石の破片で埋まっていると言って、いいくらいで、白壁のような残雪が、崖の腹からくずれかかってその破れ石の上を、継ぎ剥ぎに縫っている。

朝飯が炊けると、嘉代吉はお初穂を取って押しいただいた、山の神さまへ捧げるのだという、私も人夫も、それを四、五粒ずつ分けてもらって、同じように押し頂いて喰べた、奥穂高はと見ると、もういつの間にか、霧がかかった、きょうもまた雨の糸で縫いこめられる象徴のように。

雪田を峰へかけて、登りはじめる、尾根へ近くかかるとき、富士山や、八ヶ岳や、立科山の、悠ったりと緩やかな傾斜が、いかにも情緒的の柔らかさで、雲の中へ溶けている、それらの山々を浮かせて、白銀のような高層の雲が、あざやかな球体をして、幾重にも累なって、千万の鱗が水底できらめくように光っている、「へえこの雲じゃあ、時降りにゃあなりっこなし、案じはねえ」と嘉代吉は受け合っているが、それでも朝日の金光を、中途から断ち切って、霧がぴちゃぴちゃ呟やきながら、そそいで来ると、何とも言われない