Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
花が私の面を撲って、甘酸っぱい匂いが、冴えた空に放散する、嶮しい岩角で、一足踏み辷らすと、大変なことになると思いながらも、花の匂いが官能を刺戟して、うっとりと気が遠くなる、空は濃碧に澄んで、塵っ葉一つの陰翳もなく、虻が耳もとで、ブンブン唸る。
嘉門次はふと草原を切り靡けたような、路のあるのを見出して、太い短かい杖で、猪独活をあしらいながら、「熊が通った路だあ」と言った、草はよほどの重量を、載せたように、右に左に押し倒されて、その凹んだ痕が、峰の方へ、斜に切って、するすると登って行く。
もう前穂高の三角点のある岩尾根は、醜恠に赭っちゃけて、ササラのように擦り減らされた薄っぺらの岩角を、天に投げかけている、細い石渓の窪地や、薊がところ嫌わずチクチクやる石原の中を、押し分けてというより、押し登って行くと、鼻っ先の風露草とすれすれに、乗鞍岳はもう雲の火焔に包まれている、眼前の岩壁には、白樺の細木が行列して、むくむく進行する草原の青波を、喰い留めながら、崖の縁をかがっている、その白樺を押し分けて、庇のように突き出た岩壁に縋る、櫓のように大きな一枚岩で、浦島ツツジが、べったりと、石の地を見せずに、粘ばりついているので、手障りがいかにも柔らかで、暖かい