Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
石楠花は依然多いが、それに次いでは、高根いばらが多く、丈高い茎に大形の紅色の花を着けたのが、消炭の火のように、かえって暗い感じをさせる。車百合、稚子百合、白花蛇イチゴ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、ヤマオダマキなどが、陰森たる白ビソ、米ツガ、落葉松などの下蔭にうずくまっている。ここの落葉松は、小御岳では風雪と引っ組んで、屈曲匍匐しているに似ず、亭々として高く、すらりと延び上っている自然のままの、気高さに打たれる。路は次第に下って、多分三合目位だろうと思われる高度の、大沢の小舎に着く。御中道に昔は小舎がなくて、参詣の道者が難渋するため、そのうちの難所たる大沢に、お助け小舎を置いたそうだが、それは疾くにつぶれて、今のは粗末ながら、普通の旅人宿めいた小舎である。しかし元来、御中道めぐりは、信神の道者を主とするので、近来盛んになった女人の登山も、ここへはほとんど影を見せず、森林と絶壁と深谷とで、四周を切り離されているから、山中の室としてのさびが、心ゆくばかり味わわれる。主人は署名帳を出して、私に物書けというから、三、四行したためた。私は登山すべく、あまりに老いたとは思っていないが、まだ登るべき多くの山を控えているから、恐らく生涯に二度とここまで来なかろうと思う。