Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
一昨々年は、温泉宿附近、前穂高一帯の森が、空地になった、友人亡大下藤次郎氏が、ここで描いた水彩画は、今では森林そのもののためにも、遺念になった、昨年は河童橋から徳本峠まで、落葉松の密林が伐り靡けられた、本年は何でも、田代池の栂を掃ってしまうのだそうであるが、あるいはもう影も形もなくなって、屍体が方々に転がっているかも知れない。
そうして、山骨は露出し、渓水は氾濫し、焼くが如き炎日は直射し、日本アルプス第一の美麗なる峡谷は、荒廃し、欝積熱烈の緑の焔は、白ッちゃけた灰になり、その上に焼岳の降灰が積もって、生々欣栄の姿を呈した「生の谷」が醜い「死の谷」に変る日も遠くには来ないであろう、一戸の温泉宿はどうなってもいい、一座の槍ヶ岳は、あるいはどうなってもいいかも知れぬ、人間霊魂の内部に潜在する自然に対する驚異の心の消耗は、やがて人情の上に倒影して、恐怖すべきほど、乾燥にして露骨なる時代を、荒廃の谷地に象徴されはしまいか。このような、恐怖すべき時代は、今日では都会を襲って、地方に及ぼそうとしている、土地もあろうに、この峡谷を以て、その時代を象徴させようとするには、あまりに惜しい