Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
関節の一つ一つがほごれたようにだるい。
煙草を一本吸い終って殻を捨てた拍子に、ちょっと後を向いて家の中を見ると、驚いた。人がいる。一人の女が。何処からいつの間に、はいって来たのだろう? 先刻までは誰もいなかったのに。白い猫しかいなかったのに。そういえば今は白猫がいなくなっている。ひょっとすると、先刻の猫がこの女に化けたんじゃないかと(確かに頭がどうかしていた)本当に、ごく一瞬間だが、そんな気がした。
驚いた私の顔を、女はまじろぎもせずに見ている。それは驚いた目ではない。先刻から私が外を眺めていた間中ずっと此方を見ていたというような感じがした。
女は上半身すっかり裸体で、鳶足に坐った膝の上に赤ん坊を抱いている。赤ん坊はひどく小さい。生れて二月にもなるまい。睡りながら乳首をくわえている。吸っている様子は無い。びっくりしたのと、言葉が不自由なのとで、私は、勝手に留守宅に休ませてもらった断りを言いそびれ、黙って女の顔を見ていた。こんなに眼を外らさない女は無い。ほとんど目を据えていると言っても宜い。熱病めいた異常なものまでが、その眼の光の中に漂っているようである。