Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
飾磨屋は一体どう云う男だろう。錯雑した家族的関係やなんかが、新聞に出たこともあり、友達の噂話で耳に入ったこともあったが、僕はそんな事に興味を感じないので、格別心に留めずにしまった。しかしこの人が何かの原因から煩悶した人、若くは今もしている人だと云うことは疑がないらしい。大抵の人は煩悶して焼けになって、豪遊をするとなると、きっと強烈な官能的受用を求めて、それに依って意識をぼかしていようとするものである。そう云う人は躁狂に近い態度にならなくてはならない。飾磨屋はどうもそれとは違うようだ。一体あの沈鬱なような態度は何に根ざしているだろう。あの目の血走っているのも、事によったら酒と色とに夜を更かした為めではなくて、深い物思に夜を穏に眠ることの出来なかった為めではあるまいか。強いて推察して見れば、この百物語の催しなんぞも、主人は馬鹿げた事だと云うことを飽くまで知り抜いていて、そこへ寄って来る客の、或は酒食を貪る念に駆られて来たり、或はまた迷信の霧に理性を鎖されていて、こわい物見たさの穉い好奇心に動かされて来たりするのを、あの血糸の通っている、マリショオな、デモニックなようにも見れば見られる目で、冷かに見ているのではあるまいか。