Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
翁の及ぶべからざる処が別に有ったのである。
翁は病人を見ている間は、全幅の精神を以て病人を見ている。そしてその病人が軽かろうが重かろうが、鼻風だろうが必死の病だろうが、同じ態度でこれに対している。盆栽を翫んでいる時もその通りである。茶を啜っている時もその通りである。
花房学士は何かしたい事若くはする筈の事があって、それをせずに姑く病人を見ているという心持である。それだから、同じ病人を見ても、平凡な病だとつまらなく思う。Intressant の病症でなくては厭き足らなく思う。又偶々所謂興味ある病症を見ても、それを研究して書いて置いて、業績として公にしようとも思わなかった。勿論発見も発明も出来るならしようとは思うが、それを生活の目的だとは思わない。始終何か更にしたい事、する筈の事があるように思っている。しかしそのしたい事、する筈の事はなんだか分からない。或時は何物かが幻影の如くに浮んでも、捕捉することの出来ないうちに消えてしまう。女の形をしている時もある。種々の栄華の夢になっている時もある。それかと思うと、その頃碧巌を見たり無門関を見たりしていたので、禅定めいた contemplatif な観念になっている時もある。