Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
絶えず涎が垂れるので、畳んだ手拭で腮を拭いている。顔位の狭い面積の処で、一部を強く引っ張れば、全体の形が変って来る。醜くくはない顔の大きい目が、外眦を引き下げられて、異様に開いて、物に驚いたように正面を凝視している。藤子が食い付きそうだと云ったのも無理は無い。
附き添って来たお上さんは、目の縁を赤くして、涙声で一度翁に訴えた通りを又花房に訴えた。
お上さんの内には昨夜骨牌会があった。息子さんは誰やらと札の引張合いをして勝ったのが愉快だというので、大声に笑った拍子に、顎が両方一度に脱れた。それから大騒ぎになって、近所の医者に見て貰ったが、嵌めてはくれなかった。このままで直らなかったらどうしようというので、息子よりはお上さんが心配して、とうとう寐られなかったというのである。
「どうだね」
と、翁は微笑みながら、若い学士の顔を見て云った。
「そうですね。診断は僕もお上さんに同意します。両側下顎脱臼です。昨夜脱臼したのなら、直ぐに整復が出来る見込です」
「遣って御覧」
花房は佐藤にガアゼを持って来させて、両手の拇指を厚く巻いて、それを口に挿し入れて、下顎を左右二箇所で押えたと思うと、後部を下へぐっと押し下げた。